今回は行政書士試験の多くの受験生がつまずく民法第95条の第1項、第2項の“錯誤”について解説をしていきたいと思います。条文を読むだけでは抽象的な言葉が多く、理解しにくいと思いますので、具体例を入れてわかりやすく解説していきます!
条文
民法 第95条 (錯誤)
【第1項】
意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
◯第1号
意思表示に対応する意思を欠く錯誤
◯第2号
表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
【第2項】
前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
第1項の第1号と第2号を具体例で考えてみる
◆ケース1(第1項第1号のケース)
Aさんは「トマトを3個買いたい」という意思を持っています。そこでAさんは近所の八百屋に行きました。Aさんは八百屋に着くと、店主に対して、本当は「トマトを3個買いたい」にも関わらず、誤って「トマトを5個買います」と言ってしまいました。このAさんの「トマトを5個買います」という発言のように、法律上の権利や義務の発生を望む内面の意思を、外部に表明する行為のことを“意思表示”と言います。
この場合Aさんは、「トマトを5個買います」という意思表示に対応する意思である「トマトを5個買いたい」という意思を欠いているため、これは“意思表示に対応する意思を欠く錯誤”に該当します。
◆ケース2(第1項第2号のケース)
Bさんは新しい駅が建設されるという情報をある不動産屋から聞き、その駅の建設予定地の近くの土地を購入しようと思いました。そこでBさんはその土地を取り扱っている不動産屋に行き、「この土地を購入します」と言いました。このように当事者の意思表示に基づいて法律効果を発生させる行為のことを“法律行為”と言います。しかし、新しい駅が建設されるという情報は真実ではなく、結局その土地の近くに新しい駅は建設されませんでした。
この場合、表意者であるBさんが「その土地を買う」という法律行為の基礎とした「その土地の近くに新しい駅ができる」という事情についてのその認識が真実に反しています。そのためこれは、“表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤”に該当します。
このような場合、それぞれのケースの“錯誤”、簡単に言うと“勘違い”が“法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは取り消す”ことができます。
具体的に言うと、ケース1の場合では、先ほどとは違ってAさんが「トマトを5個買います」ではなく「トマトを500個買います」と言った場合や、ケース2の場合では、土地という非常に高価な買い物を勘違いでしてしまったりした場合というような“その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるとき”は、これらの行為を取り消すことができる可能性があります。
逆に、ケース1の場合で言うと、Aさんが本当は「トマトを3個買いたい」にも関わらず、誤って「トマトを5個買います」と言ってしまった場合では、数量のわずかな言い間違いとして“その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものでない”と判断される可能性があります。
第2項を具体例で考えてみる
ただしケース2(第1項第2号)の場合は、“その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り”取り消すことができます。
具体的に言うと、Bさんが「近くに新しい駅ができるからこの土地を購入したいと思いました」というように、「その土地の近くに新しい駅ができる」という事情が「その土地を買う」という法律行為の基礎とされていることを、Bさんが心の中で思っているだけでなく、不動産屋に伝えるなどして表示されていないと取り消すことができないということです。
最後に
民法95条は行政書士試験でも多く出題される条文の1つです!勉強していて条文の意味がわからなくなったら、ぜひこのブログをまた見に来てください!
※本記事は行政書士試験の学習用に、民法95条の考え方をわかりやすく説明したものです。個別事案では結論が異なる場合があります。

